大規模修繕工事 工事中の流れ
大規模修繕工事は外壁修繕工事や屋上防水工事など
各種修繕工事から成り、さらに足場設置など
工事前準備を含め、さまざまな工事の総称です。
こちらでは大規模修繕工事がどのような工程で進められるのか、工事中の流れについてご紹介いたします。
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共通仮設工事
工事を進める上で各種工事に共通して使用される仮設物を設置します。 現場事務所・作業員 詰所・資材置場・トイレ・シンク・水道設備・電気設備などが該当します。すべて工事終了後は撤去してしまいますが、工事を安全かつ円滑に進めるためには欠かせない設備となります。
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足場仮設工事
外壁などの普段は手が届かない箇所を作業するために足場を仮設する工事です。 現在では 鋼製(鉄製)の枠組み足場を設置するのが一般的です。 安定した作業床があるからこそ、作業員は力仕事や緻密な補修作業を正確に行うことができるようになるのです。足場の設置が完了すると、落下防止と材料飛散防止のためにその外側をメッシュシートで覆います。
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シーリング工事
サッシ枠と壁、コンクリート接合部などに柔軟性のあるシーリング材を充填して隙間を埋める防水工事のことをいいます。 シーリング工事は、古いシーリング材を撤去・清掃し、新たなシーリング材を重点する「打ち替え」と、古いシーリング材をかぶせる「打ち増し」があります。劣化の具合や目地の深さなどの状況から判断して「打ち替え」と「打ち増し」のどちらかを選択します。
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下地補修
建物のひび割れなど劣化箇所を補修する工事のことをいいます。 建物全体を調査し、コンクリートに発生したひび割れやモルタルなどの劣化・損傷箇所を一つひとつ丁寧に補修していきます。発生箇所、発生要因、材質、劣化具合により補修方法は異なりますので、それぞれに適した方法を見極めて選択することが重要です。下地補修の良し悪しは、後の仕上げ工程の精度にも大きく関わり、竣工時にどんなに綺麗に仕上げても、下地補修が良くないと劣化がすぐに再発してしまいます。これでは大規模修繕工事の目的を果たせないだけでなく、建物の耐久性や寿命にも大きな影響を与えてしまいます。
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タイル補修
タイルの浮きやひびなど劣化箇所を補修します。 タイルは耐久性が高く、高級感があることから多くの建物に使用されていますが、経年に伴いタイルの浮きやひび割れなどが発生します。また、剥落した場合は人的・物的な被害に繋がることもあるので、適切にメンテナンスを行う必要があります。
補修工事ではタイルの全面を打診して劣化状況を見極め、工法を選定します。取り換えるのかエポキシ樹脂を注入し、固定しなおすのか状況によって様々です。 -
外壁高圧洗浄
外壁高圧洗浄機器によって、長年蓄積した汚れや苔、劣化した塗膜などを除去します。 外壁の状態によっては、現状の塗膜を落とすために圧力を上げたり温水を使用する場合もあります。こちらの工事を行う際は住民の皆様にバルコニーの使用制限をお願いする場合があります。
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内・外壁塗装工事
美観の回復と建物の保護のために、内壁・外壁を塗装します。 新築時のような美観を取り戻し、雨水や汚れなどから建物を保護するために、建物の内壁・外壁の塗装を行います。外壁の仕上塗材にはさまざまな種類があり、選択肢も多く、新たな色彩に変更することも可能です。また、塗料が十分に効果を発揮するためには仕様書通りの適切な量を守り、均一に塗布することが重要です。バルコニー内の塗装を行う際は、サッシ窓への塗料付着を防ぐため、養生を行います。(養生とは汚れを防ぐためにビニールで覆うことです)養生をすると住民の方がバルコニーへ出ることができなくなってしまうので、事前にしっかりと説明し、ご理解をいただくことが重要です。
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鉄部塗装工事
鉄製の扉や階段、手すり、消火栓ボックス等の建物内の鉄でできている箇所に耐久性向上の為に塗装を行います。 基本的にはケレン(錆落とし)→ 錆止め(下塗り)→ 中塗り→上塗り(仕上がり)という4工程を経て完成となります。 この工程の中でも特に重要なのがケレンと呼ばれる錆落としです。鉄部と塗装の密着度を高め、耐久性を上げるための大切な工程で、この作業が甘いと、数年経たずに塗装が剥がれ、錆が発生するといった不具合に繋がります。
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屋上防水工事
屋上防水はウレタン防水、アスファルト防水、シート防水などの工法があり、既存防水層の種類によって適切な修繕工法を選択します。 防水工事は修繕項目の中でも最重要とされていますが、中でも屋上は常に直射日光や雨風にさらされさる過酷な環境にあるため最も劣化しやすい箇所です。防水層のふくれ、破れ、しわ、磨耗などの他、排水溝周りのひびや汚れ、雑草や苔が繁殖、コーキングが劣化しているなどの症状が見られたら早めの修繕が必要です。
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バルコニー等共用部防水工事
バルコニーや解放廊下も防水処理を施さなければならない重要な箇所です。 新築時にはモルタル仕上げのみになっているマンションも多く、屋上ほど過酷な環境ではないとはいえ、雨水など降り込む事も多いので、適切な工事が必要です。
また、塩化ビニール床シートを共用部に施工するだけでもかなり見た目の印象が変わり、経済的・美的観点からも是非大規模修繕のタイミングで行った方が良い工事といえます。 -
手摺・サッシ・玄関扉等交換工事
手摺・サッシ・玄関ドアなども消耗品なので、定期的なメンテナンスや交換が必要です。 30年以上経過しているマンションでは不具合が起こることも多いので、補助金などを活用し、大規模修繕工事の際に交換を検討されるマンションも多くあります。
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設備配管の更生・更新工事
給水管や排水管は劣化が進むと水質の悪化、漏水事故へと繋がります。 配管の改修には、大きく分けて「更生工事」と「更新工事」があります。「更生工事」は管内部の錆や汚れを取り除き、保護をする工事で管の寿命を延ばすことができます。後者の「更新工事」は管そのものを交換する工事です。
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足場解体・共通仮設撤去
すべての工事が終了したら、マンション管理組合様やオーナー様・パートナーとともにチェックをさせてただきます。 気になる箇所や施工不良個所があれば再度施工します。問題がなければ、足場や仮設物を撤去し、きれいに清掃してお引き渡しとなります。足場解体・共通仮設撤去時は設置時同様、居住者様と周囲の安全に配慮しながら撤去を進めます。